近年、自治体における広報・情報発信の手段として、デジタルサイネージ(電子看板)を活用する事例が増加しています。
市役所や公共施設、駅前広場や観光案内所など、さまざまな場所に設置されるデジタルサイネージは、従来の掲示板に代わり、リアルタイムかつ柔軟に情報を伝えられるツールとして注目されています。
特に、災害時の避難情報や観光・地域イベントの告知、多言語対応によるインバウンド施策など、地域住民と訪問者双方への「わかりやすく、即時性のある」情報提供が求められる場面で、大きな力を発揮しています。
本記事では、全国の自治体における先進的なデジタルサイネージ活用事例を5つご紹介しながら、市民満足度を高めるためのポイントを解説します。
広報活動の強化や情報提供の質向上に取り組む自治体の担当者の方にとって、導入・運用のヒントとなる内容をお届けします。
1. なぜ今、自治体でデジタルサイネージが注目されているのか
従来の掲示板では対応しきれない情報ニーズ
これまで自治体では、庁舎内の掲示板やチラシ、地域回覧板などを用いて、地域住民に情報を伝えてきました。しかし近年では、情報の更新頻度や即時性が求められる場面が増え、紙媒体だけでは対応が難しくなっています。
とくに、災害や急な交通規制、感染症対策といった「迅速な対応」が必要な情報ほど、リアルタイムに表示できる仕組みが求められています。デジタルサイネージはそのニーズに応える有効な手段として、各地の自治体で導入が進んでいます。
リアルタイム性と多言語対応で防災・観光にも有効
デジタルサイネージの特長のひとつは、外部データと連携したリアルタイム表示です。気象情報や地震速報、公共交通の運行状況などを自動で取得し、必要に応じて表示を切り替えることで、住民や観光客に対してタイムリーな情報提供が可能です。
また、訪日外国人の増加に対応するため、多言語表示機能を備えたサイネージの活用も広がっています。英語・中国語・韓国語などで施設案内や地域イベント情報を表示することで、地域の観光振興にもつながります。
DX推進と地域サービス向上の一環としての活用
国のデジタル田園都市国家構想の後押しもあり、自治体におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)は喫緊の課題となっています。サイネージの導入は、ICTを活用した“伝わる行政広報”の第一歩としても注目されています。
情報発信の仕組みをデジタル化することで、庁内業務の効率化やペーパーレス化にも貢献でき、市民サービスの質向上に直結する施策となるのです。
2. 市民満足度を高める自治体のデジタルサイネージ活用事例5選
自治体によるデジタルサイネージの活用は、単なる“お知らせ表示”を超え、地域社会の課題解決やサービスの向上に貢献しています。以下では、先進的な5つの事例をご紹介します。
事例① 観光案内と連携した多言語サイネージ(京都市)
京都市では、観光拠点や駅構内に多言語対応のデジタルサイネージを設置し、外国人観光客への情報提供に活用しています。
表示言語は日本語・英語・中国語・韓国語など。イベント情報や交通案内、災害時の避難誘導情報もリアルタイムで表示可能です。
ポイント:多言語対応による“情報格差”の解消と、観光満足度の向上に寄与。
事例② 災害・防災情報の即時配信(熊本市)
熊本市では、地震・豪雨などの災害リスクが高い地域特性を踏まえ、市役所や地域センターにデジタルサイネージを設置。
気象庁と連携したリアルタイムの気象警報や避難所情報を自動配信する仕組みを構築しています。
ポイント:紙掲示では間に合わない緊急時に、迅速で確実な情報伝達が可能。
事例③ 高齢者にやさしい福祉・医療情報の可視化(北九州市)
高齢化が進む北九州市では、区役所や公共施設のエントランスにデジタルサイネージを導入。
大きな文字や高コントラストな表示で、わかりやすい福祉制度の案内や健康イベント情報を提供しています。
ポイント:視認性を重視したデザインと運用により、高齢者の情報取得の支援を実現。
事例④ 地域イベント・行政サービスの周知強化(千代田区)
東京都千代田区では、駅構内や区立施設において、地域イベントや行政サービスの広報をタイムリーに発信。
区のホームページと連動し、最新の情報を自動表示する仕組みを採用しています。
ポイント:紙の掲示よりも更新が早く、若年層への広報リーチも向上。
事例⑤ 公共施設の混雑・予約状況の表示(名古屋市)
名古屋市では、図書館や市民プールなどの公共施設にサイネージを設置し、混雑状況や施設予約の可否を表示。
利用者が現地で状況を確認し、無駄な待ち時間を避けられるよう配慮されています。
ポイント:利用者のストレス軽減と、職員の対応負担の軽減を同時に実現。
3. デジタルサイネージ導入で得られる3つの効果
自治体がデジタルサイネージを導入することで、広報・サービス面での効果が多方面に現れます。ここでは、代表的な3つの導入効果をご紹介します。
1. 市民サービスの質向上
リアルタイムで分かりやすく情報を届けられることは、行政サービスにおける“満足度”の向上につながります。
文字の大きさやデザインの工夫によって、視認性に配慮した情報提供ができるほか、音声読み上げや動画コンテンツとの併用により、さまざまな属性の市民に届く“伝わる広報”が実現可能です。
2. 広報業務の効率化・省人化
紙媒体の掲示物は、作成から設置・撤去までに手間と時間がかかりますが、サイネージであれば本庁舎から一括で更新でき、人的リソースの削減につながります。
また、同じ内容を複数の施設で同時に配信することも容易で、全庁的な情報共有にも役立ちます。
3. 地域全体の情報流通のスピードアップ
緊急情報や災害時の注意喚起は、1分1秒を争うケースも少なくありません。サイネージを活用することで、地域内に点在する施設や拠点から一斉に情報発信ができ、情報伝達のスピードと正確性が大幅に向上します。
これは住民の安心・安全の確保にも直結する効果です。
4. 導入を検討する際のポイントと注意点
デジタルサイネージの導入は、単なる機器の設置にとどまらず、情報発信のあり方そのものを見直す契機にもなります。ここでは、自治体で導入を進める際に押さえておきたい重要なポイントをまとめました。
● 設置場所と利用目的の明確化
まずは「誰に」「何を」伝えたいのかを明確にしたうえで、設置場所を選定することが重要です。
たとえば、高齢者向けの情報を発信するなら地域包括支援センターや病院ロビー、観光情報であれば駅構内や観光案内所など、ターゲット層に届きやすい場所を選びましょう。
● コンテンツ更新の仕組みと体制整備
日々の情報更新が滞ると、せっかくのサイネージも“電子の壁紙”と化してしまいます。
どの部署がどのようにコンテンツを更新するか、CMS(コンテンツ管理システム)の操作性や運用ルールをあらかじめ整備しておくことが、スムーズな運用につながります。
● 費用対効果と市民ニーズのバランス
ハードウェアの導入コストや通信費、運用人件費など、一定のコストは発生します。
一方で、紙媒体の削減や業務効率化、住民満足度の向上といったメリットを考慮した上で、費用対効果を評価することが重要です。
導入後も、市民からの反応や利用状況を把握し、継続的な改善に取り組む姿勢が求められます。
5. まとめ|市民に届く“伝わる広報”の第一歩として
デジタルサイネージの導入は、自治体にとって単なる設備投資ではなく、「必要な情報を、必要なタイミングで、必要な人に届ける」という行政の基本姿勢を形にするものです。
災害対応や多言語支援、福祉案内、観光振興など、さまざまな分野での活用が進んでおり、リアルタイム性と柔軟性を備えたサイネージは、これからの自治体広報に欠かせない存在となっていくでしょう。
導入にあたっては、住民目線での情報設計と、現場の運用体制とのバランスを考慮することが大切です。
まずはスモールスタートでも構いません。地域に寄り添う情報発信のあり方として、サイネージを活用した“伝わる広報”に、今こそ一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
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